Fumio Noguchi / Photo collage by Nick Paulsen
Fumio Noguchi / Photo collage by Nick Paulsen

 このサイトに掲載されている作品はすべて、ボーンカーバー野口文男による手作りです。移住のため最初に移り住んだクライストチャーチでひょんなことからNZマオリ彫刻の先生(Dave Paki)より、カービングを習う機会を得、最初に作ったシンプルなボーンネックレスに我ながら衝撃を受け、2000年以来製作を続けて今日に至ります。

 

 当初は趣味でしたが、永住の地として選んだネルソンはアートの街。数多くの芸術家が住み、独自の作品を生み続け、静かな街でありながらとても刺激的な街でした。ここで毎週土曜日に開催されるサタデーマーケットに多少たまった作品を売り出したところ徐々に売れ始め、数年後にはフルタイムで作り続けることになりました。

 2010年にはNew Zealand Treasures ExhibitionにおいてNZをリードし世界に名を馳せるトップカーバー(彫刻師)たちとともに作品を展示する機会を得、横のつながりも強まり、以来、国内各所で展示会、品評会、招待ゲスト展示などへとつながりました。

 *2022年に作成した2つの根付がアメリカのサンタフェにある美術館”Museum of International Folk Art"に収蔵されました。

  

 この10数年ほどは日本の伝統工芸品でもある根付にはまり込み、過去の偉大な作品に少しでも近づける様にと日々精進しています。ヨーロッパ、そしてアメリカに根付コレクターが多いのですが、NZやオーストラリアにも熱烈なファン、コレクターがいるのにも驚きました。世界各地の人々から連絡を頂き、作品を喜んで愛でてもらっているのはうれしい限りです。気力の充実、集中力を必要とする作品作りに魂を注ぎ込むべく、日々のエクササイズ、多方面での勉強?(動植物の観察、江戸の風俗や雑学、デザイン、アンティーク全般の物色)、素材集め、遊び(主に骨董店めぐりとビーチ散歩)にと過ごす日々です。また2015年には念願かない、日本の根付師の先生方に御教示いただく機会を得ました。そして2016年、1週間にわたるNZカーバーシンポジウムにおいては、トップカーバーたちと再び友好を深め、また翡翠(Jade)の作品作りも楽しむことができました(上写真緑色のもの)。

 2021年にはNZ北島にてボーンカーバーだけのワークショップ”Mokau Bone Carving”に特別ゲストとして招待され、40人のボーンカーバーと3日間に渡り知識の共有と友好を温めてきました。2023年も招待していただき、60人以上の参加者とともに当地のMARAE(マオリの集会所)を正式訪問したりと充実した3日間を過ごしてきました。

 

 扱う素材は鹿角、牛骨、鯨骨、鯨歯、タグアナッツ、猪牙、他動物の骨や角、牙、硬木等。基本的に前に生命を宿していたもの。それらに再び新しい生命を吹き込み、かつ将来の所有者を想像しつつ作品を作っております。近年では出会ったたくさんの方々らから面白い素材を頂くことが多く、まだまだ使っていないものが数多くあります。後年の楽しみがまだまだあります。

 

 オーダーの品作りも多く、また骨や牙などの素材持ち込みにも対応しています(恐れ入ります、現在オーダー品の受け付けを中止しています)。これまで鯨骨、鯨歯、ゾウアザラシの歯、ジュゴンやクロコダイルの骨、イボイノシシの牙、マンモス牙、カジキの角、JET、化石化した鯨骨、水牛ツノ、ペットの骨などを持ち込んだ方々がいます。一回勝負なので、プレッシャーはありますが、究極の一品ものとして、また次世代に残す記念品として喜んでいただいております。

 

 ネルソンのサタデーマーケットには毎週出店しています。このサイトには載せていない新しい作品も数多く並んでいます。ネルソンにお越しの際には是非のぞいて行って下さい。

 マオリカービングアカデミーにてマオリから直接習った精神と手作りの味に加え、日本人によるきめ細かくクオリティの高い作品を実感してみてください。購入していただいた方々からは「ものが他のものとは全然違う」「別次元の高品質」などのフィードバックをいただいております。

 

WBRG(Worked Bone Research Group)

International Council for Archaeozoology

認定員

  

野口文男

*ニュージーランドで毎月発行されている”Gekkan NZ”という情報誌 2017年11月号。クリックで拡大していただけます。 もう一つはWild Tomato Magazine2020年7月号。写真右は古根付コレクションのうちのひとつ